シャルル・アズナヴール 「ラ・マンマ」
Bonneさんのブログでステキなシャンソンを聴きました。そのおかげでシャンソンが好きだった頃の自分を思い出させていただきました。
シャンソンは短いドラマであると言われますが、歌詞が物語性を持っているものが多く、へたなドラマや映画を見るより心動かされます。
シャンソンを初めて歌って成功させることをフランス語で「創唱」と呼び、シャンソンではこの「創唱」が重んじられるようです。歌い手は自分の個性を活かし、シャンソンを「演じ」て「歌う」ことで、歌に生命を吹き込むと見なされているからだそうです。恋の歌や鋭い時事風刺、エスプリを利かせたシャンソンなど、シャンソンには魂が宿っているように感じられます。
若い頃、好きだった歌手はシャルル・アズナヴール。玉をコロコロ転がすような歌声が好きでした。たくさんの名曲がありますが、この年になって特に好きになったのは「ラ・マンマ」です。
シャルル・アズナヴールの「ラ・マンマ」(1963年)は、恋や青春の懐古をうたうアズナヴールとしては珍しく母親の臨終の場をテーマとしています。しかし曲調はラテン調でダイナミックです。
私の母は93才。母親が若かった50数年前と違い、母を亡くす悲しみがアズナブールの歌声から数倍の重みで伝わってきます。
この曲を聴くたびに涙が出てきます。この世で一番、自分を愛してくれたのは、そして今でも愛してくれるのは、他ならぬ母だからです。私も子供たちにとってそんな母親でいたいと思います。
ラ・マンマ シャルル・アズナヴール
↓日本語の歌詞です。
彼らはやって来た
彼らはみなそこに集まった
この叫び声を聞いて
死にかかっているんだ、かあさんが
彼らはやって来た
彼らはみなそこに集まった
イタリアの南部の者たちも
ろくでなしの息子のジョルジオも
両腕にみやげをいっぱい抱えてきた
子どもたちはみなおとなしく遊んでいた
ベッドの周りやタイル張りの床の上で
だが彼らの遊びは重要じゃなかった
それは彼らの最後の贈り物みたいなものだった
みなは母にキスして元気づけた
みなは母の枕を高くした
死にかかっているんだ、かあさんが
聖寵みちみてるマリア聖母マリア
その像が置かれている
もちろん、ひとはマリアに救いの手を求める
アヴェ・マリアを歌いながら
アヴェ・マリア
たくさんの愛と、想い出がある
かあさん、あなたの周りには
たくさんの涙と微笑みがある
かあさん、あなたを通して
(後は長いので省略)
アズナヴールは2018年、南仏アルピーユの自宅で亡くなられました。94歳でした。
帰り来ぬ青春・イザベル・想い出の瞳・哀しみのヴェニス・ラ・ボエーム・忘れじの面影(She)などなど、素晴らしい名曲がたくさんありますね。
亡くなられる年にもテレビ番組に出演されていたようで、スウェーデン出身の妻から止められたにもかかわらず、自身はステージの上で死ぬのが本望だと語っていたと伝えられています。そしてその月も再びツアーを行う予定だったと発表されていました。シャンソン界の大物は最後まで歌うことを喜びとして歌い続けてこの世を去りました。94歳で現役でいらしたとはすごいです。
↓このLPアルバムをよく聴いていました。
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